しまファミリー

日本人家族がドイツに駐在した記録!

村上春樹ワールドがヤバい

読書好きのしましまですが
村上春樹ノルウェーの森、1Q84 、そして今回読んだ「国境の南、太陽の西」という本だけです。

村上春樹はエロ要素が強いので、
別にエロ描写が目的ではないのに何もここまで書かなくてもくらい書くので
内容がよくても刺激的すぎてしまお13歳からついつい遠ざけてしまうシロモノです。

個人的に異様に女々しい男が書いたような小説はあまり好きではないのですが
年齢が40歳になると軽く共感?できるようになった気もしないでもないです。

ハンブルクの図書館で日本の本のコーナーがあって
普通に日本の本が借りられるのですが
この村上春樹の「国境の南・・・」があったのでおととい読み、
また今日もうっかり読んでしまったという。。。。

通常速読タイプ、なのに完全に頭に残るタイプで
普通二度読みしないタイプなのですが
どうももやもや感があるのでまた読んでみました。

女々しくちまちましたたった数人だけしか出てこない人物描写、しかも不倫の話なのですが
テーマが不倫なのではなく
「不倫や性的描写を使って表す人間の喪失感!」という表現の仕方に度肝を抜かれてしまい、
これが村上春樹の手法かよ!とおののいてしまったしましまです。

よく自分探しの旅とかありますが
自分探し系の方、自分自身に納得がいっていない方は必読でしょう。

不倫かつエロ要素があるのである意味万人が読みやすい本なのに
喪失感とか自分の人生の選択肢がこれでよかったのかという後悔がある方に
リアルに最適!

ちなみに不倫は不倫でも、初恋の女子との不倫なところがポイント。
12歳の時の初恋の女子と37歳で再会したらこれは不倫というのか?
むしろ純愛の域ではないだろうかという錯覚すら起こしてしまいます。

とにかく非常に考えさせられるテーマと手法で
久々に面白い本を読んだなと思いました。

また昨日読んだ湊かなえの「母性」という本、
これも面白いテーマで、
手法は湊かなえ風のいつもの手紙調で読みやすく
最後も湊かなえ風のおなじみの後味の悪さで
村上春樹と比べると若干の甘さがありますが

母性がない上にマザコンの主人公が
自分の母親と娘のどちらかを助けないとどちらが死んでしまうよという場面で
ザコンなだけに自分の母親を救おうとしたのに
その母親が孫(主人公の娘)を助けるために自ら命を絶つのですが
「普通の母性」だったら自分の母親を無視して子供を助けるのが
「母性なしでマザコン」の場合自分の母親を助けようとするわけです。

ただ、こういう二択はめったにないのですが
世の中いろんな人がいるし、いろんな状況があるから
こういう究極の二択を子供らと考えたり話し合ったりすると面白いもんです。

しまお13歳はこの村上春樹のエロ要素満載の本を読みたがってますが
しましまの判断でまだ早いと言って読ませてません。

ちなみに強引に読ませないのではなく
こんな理由を言ったら本人が納得したので合意の上っす。

「お前はサザエさんをどういう視点で見ているのか。
カツオ目線でしか見られないならまだまだ甘い。
カツオの次はサザエ、サザエの後はマスオ。
マスオの婿養子の切なさや立ち回りを堪能した後の波平とフネ。
今しましまは波平とフネの立ち位置にいるけれど
せめてマスオレベルまで行かないと村上春樹は読ませられないネ」

まさか自分があまり好きではなかった村上春樹ワールドに若干はまるとは思ってなかったので
この手法は本当にびっくりです。
そもそもテーマが人間の喪失感ですよ!
主人公は37歳で青山にバー2軒経営。
妻も子供もいて外車を乗り回してるわけです。
なのにそれでもなお満足感一切ナシ、
むしろ喪失感でいっぱい。
昔の初恋の相手があまりにも波長が合ったために忘れられないわけです。

はっきり言って、ここまで人を好きになって
ここまで波長が合う人と出会って
ここまで自分の喪失感と向かい合ってる人が
村上春樹以外にいるのかと言いたいくらいに
超細かくてミクロな世界観。

多分結婚しない人、結婚できない人は
超細かくてミクロな世界観を持った村上春樹に近い人なのではないかと思います。

しましまなんて意外に苦労していろいろ考えてますが
こういう考え方(卓上で理論をこねまわしてる系)をしないタイプで
事件は現場で起こってるタイプなので、
意外に直感オンリーで生きてます。

ちなみにしましまの実父ヒロシー氏は動物的勘がすごいというか
ほぼ動物なので多分右脳のみで生きてるくさいです。

こういう動物みたいな実父から産まれてくると
村上春樹みたいな世界観がまず最初は受け入れられなく
外人が初めて納豆を食うみたいなノリとなってますが、
その納豆をもう一度挑戦してみて、あれ?意外に食えるかも!みたいな心境となってるわけです。

読書で世界観が結構変わるので
やっぱり図書館は素晴らしい場所です。
買うとなると選んでしまいますが、
買わないのでなんでも選んで借りてしまってとりあえず読んで返せばいいだけ。
海外にいてもドイツだとこんなに素晴らしい図書館があって心底よかったです。

ノルウェーの森ももしかして今もう一度読んだら見方が変わるかもしれない、
ノルウェーどころかその他の本もそうだろうなと思ってます。